2008年
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![]() | 国家の退場―グローバル経済の新しい主役たち (1998/11) スーザン・ストレンジ桜井 公人 商品詳細を見る |
出版社が岩波だからだろうか、翻訳が少し硬く感じる。
内容からすると東洋経済か、日本経済新聞社向きか…
世界は政治だけでも経済だけでも語れない。
それらの複合的ダイナミズムであるという視点から
国家の枠を超えて巨大化する組織(企業、NGO、非合法組織など)について
述べられている。
その中でも金融の問題は現時点で最大の問題となっているが
その金融は合法、非合法の組織活動が積み上げてきたものの動きでもある
国家の活動からはみ出した組織の動きが
国家と国境を超えて大きくなり
それによって国家や国際関係が押し潰されそうになっているのが
現在の世界の状況だ。
この本が出版されてから10年が経つが
状況はより危機的になっている。
イタリアのマフィアはゴミ問題を通じて
ついに世界中にダイオキシンを輸出するにまで至り
権威の象徴であったアメリカの格付け機関は暴走して
信用を失墜してしまった。
気になるのはアメリカで言われる株主や資本家の<圧力>である
その圧力があるために企業や権威ある組織が道を踏み外すのだという
それほどの圧力とはどんなものなのだろう
そこには非合法組織の力も加わっているのではないだろうか…
その力が大きくなり過ぎた故の、今回の米経済の破綻なのではないのだろうか
日本でもバブルの頃はアンダーグラウンドな組織は大活躍だったし…
お金に色は無いのであるからどんな勢力が
それをパワーに変えているかを判断する事は困難だ。
気になったところ…
参考書:
『国家と市場』(邦訳『国際政治経済学入門』1988 ストレンジ)
公共財としての国家の必要性は、端的に言って、発達した市場経済の出現とともに生まれた。近代ナショナリズムは、しばしば実在のものと想定されるが、多くの部分は近代資本主義の産物である。
「多国籍企業」…1960年代 IBM広報部によってつくられた言葉
アメリカ企業であることを隠すため
第一に社会活動としての政治の諸限界
第二に社会におけるパワーの性質と源泉
第三に市場経済における権威の必要性と不可分性
第四に国際社会のアナーキー的性格と、国際社会における唯一のアクターとしての合理的なふるまい
第二次大戦後:領土の喪失は国家の貧困化、もしくは弱体化を意味しなかった
(日本とドイツ)
革新から生まれる独占的レントがその競争相手によって縮小すると、その企業はその製品をまだ競争が少ないか競争のない市場へと輸出しはじめる
1930年代:
世界恐慌:イギリスはヘゲモン(覇権国)として行動することができず、
アメリカはヘゲモンとして行動する意思がなかったため、
世界経済全体が危機に陥った
(キンドルバーガー)
国家間におけるパワーの非対称性の拡大と、さらにパワーの不在ないしは衰退が世界市場の死活的な諸側面にまで及んでいる
南アフリカ:
雪だるまを最初につき動かしたのは、米銀の国内株主が脅威を感じてとった行動
金融的独立性という見せかけが、中小規模国家の国民政府にとってはもはや
まともに維持されないときにさえ、それら政府はなお自立性の幻想にしがみついて
自らの銀行券を印刷し、コインを発行するだろう
国家から市場へのシフトが超国家企業を実際に政治上のプレーヤーに変えた
世界経済で20世紀後半に生産され追加された富の1/3しか物質的な財の追加に向けられていない。1/3は余暇に、1/3は教育と医療に(ドラッカー)
ヨーロッパ:
1980、90年代 「ナショナル・チャンピオン企業」への支援を止めた
重要な一国のインフレーションは容易に他国に拡散しうる
1970年代のアメリカのインフレは日本やドイツ以外にすべて拡散
アメリカ:
1981-82年のヴォルカー=レーガンによるインフレ阻止
→世界デフレと不況を世界に押しつけた
世界市場を存立させる基礎になるグローバルな安全保障構造
小型武器から核物質まで有効な管理下におかれたことがない
グローバル化の下での相互依存という決まり文句を超え
「リスクの創出が信頼の開発を上回った」
国家に対するライバルないし反権力:
イタリア:マフィア(コーザ・ノストラ)
中国:三合会(黒社会)
コロンビア:麻薬カルテル
日本:ヤクザ
旧ソ連:数千のミニ・マフィア
国家に承認された権威:
保険、会計
1960年代までシチリア・マフィアは選挙で長を選んでいた
山口組シンジケート:1980年代シェア11%→92年シェア40%
「パクス・マフィオサ(マフィアによる平和)」(クレア・スターリング)
国家からなる「国際社会」と同様に、何がしかの無政府的な「国際社会」は存在する
過去20年間にヘロイン市場は20倍、コカイン市場は150倍
1991-94年 中国からアメリカへの不法入国は25000人
人身売買的行為による三合会の利益は25億ドル
1980年代 市場はマフィアに国民市場経済と社会の境界線を乗り越える機会を与えた
保険ビジネス:
市場経済が発達し、より複雑で大規模になればなるほど、リスクもそれだけ増大し、直接にまた間接に、リスクの影響を被る人々の数も増える。人々の多くは、リスクが増大していることを意識することさえしない
事業が成功するか失敗するかは予測不能である。
しかし、ナイトの観察によれば、資本主義システムのほとんどの企業化は
希望と楽観主義でその精神が満たされている。
企業家は、他者が失敗しようとも、自分自身は成功すと信じている
資本主義システムを維持しているのは、この楽観主義である
6大監査法人(ビッグ・シックス)
イギリスの上位100社中96社
アメリカの上位500社仲494社の監査
アングロ・サクソンの伝統:
政府は間接統治を選好する
会計原則が、明晰さと整合性よりは、
儀式性と魔術に関連しているものであると、
人々が気づいたならば、
会計という職業や、彼らが作成する財務諸表に対する信頼は全面的に失われる
(Perks 1993)
70年代のインフレを背景に「創造的会計」が生まれた
→経営目的にかなう財務諸表を作成する
過去にその存在が知られている電機、化学、合成繊維、アルミニウムといった、主要製造業における私的保護主義カルテルが「地価に潜り」見えにくくなった
カルテル:
実質的に「公共に対する陰謀」である。政治学的に言えば、規制者が目をふさぎ、不活発そして無能であるために、そういったカルテルは「体制内の体制」を形成している
権威の独立した行使、従属した行使いずれにおいても国際機構が本質的に自己システム保存的だということになるに違いない。加盟国どうしが相互承認しあう仲良しクラブとして、その政治的活動は政府の権威を強化するのに役立っている。また世界経済においては、国際金融、国際貿易や国際投資のいずれについても、市場レジームの正当性を拡大し強化することに役立っている
ブンデスバンクの先導に他国が常に従う、事実上のドイツ・マルク圏の出現
(Tsoukalis 1993)
「小規模の共同体予算と、独自に決定される大規模な各国予算という組合せから導かれる結論は、財政強調がなければ、加盟国の決定がもたらす偶然の結果こそがEMUのグローバル財政政策だということになるだろう。共同体レベルでのマクロ経済的な 財政政策は単に存在しないだろうということである」
(ツォカリス 1991)
片目をふさいだ社会科学:
市場経済と政治の両方を見る
だれまたは何に変化の責任があるのか
技術:市場:政治
変化は国家間のパワー・バランスのシフトの結果として生じたのではない。
市場、技術と政治という三者モデルだけが、国際機構や国民経済向けの国内政策と市場における企業間競争と両者に見られる変化を説明できるのである
冷戦期の大国間バランスの終焉に、大国と小国間のパワーの非対称性の増大が付け加わると、その意味するのは、地域間戦争、内戦や権威の崩壊のいずれかによって生命と財産に対する危険性が実質的に高まるという、アラン・ミンクが「グレイ・ゾーン」と呼んだものの成長である
世界市場経済が国家の権威を追い越した
政治的圧力と経済的変化の下にある市場経済において、貨幣と信用の管理は、貿易システムよりはるかに脆弱な急所なのである
歴史的経験は、信用創出とマネー・サプライの拡大に対して思慮深い管理権を行使する必要を示しているが、それを行使する世界中央銀行は存在していない
もし金融市場のパワーが、各国中央銀行によって行使されてきたような対抗力によってバランスをとられなければ、権威の並存する方向へのこの変化は実際、深刻な事態である。
権威のシフトしている非国家機関のうち、一つとして民主的に統合されているものはない。超国家的な経済外交の新しいプレーヤーである企業は、民主制ではなく、階層制である
「ピノキオ問題」
一人一人を国民国家に縛りつける糸
操り人形から本物の少年へ
導く糸はもはや存在しない
どの権威を尊重し、どの権威に挑戦し抵抗するのか、自分で決断しなければならない
冷戦の終焉とともに、そして市場経済の勝利とともに
絶対性の新たな不在が生まれた。
多面的で拡散した権威の世界にあって、私たちそれぞれがピノキオ問題を共有している。個人の良心だけが唯一の導きの糸なのである
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